脂質異常症
どんな病気?
LDL(悪玉コレステロール)の高値、HDL(善玉コレステロール)の低値、トリグリセリド(中性脂肪)の高値が動脈硬化症の危険因子とされ、動脈硬化症により心筋梗塞や脳梗塞のリスクが増すと言われています。上述の項目が異常値を示すことを脂質異常症といい、これらの是正が心筋梗塞、脳梗塞の予防につながるとされています。脂質の中にはもう一つの項目、総コレステロールがありますが、これは高値を示しても危険因子とはされず、また総コレステロール値を治療の指標にもしません。
多くの場合原因は生活習慣に起因しますが、まれに遺伝子異常に基づく疾患群、家族性高コレステロール血症があります。この場合には早期から薬物療法を選択する必要性が高いといえます。
どんな症状がでるの?
脂質異常症のみで自覚症状がでることはほとんどありません。動脈硬化が進んだとしても、それ自体で症状が出ることはありません。もちろん、動脈硬化の結果心筋梗塞、脳梗塞が発症すればその瞬間にその症状は自覚します。
目の周りに黄色腫という脂肪の塊ができることがあります。これは血中のコレステロール値が高いと出るといわれています。外科的切除も可能ですが、コレステロール値を下げると自然と消失することもあり、食事や運動が重要となっています。
どうやって診断するの?
採血によってLDLコレステロール、HDLコレステロールや中性脂肪を測定し、値によって判断します。その他家族歴、飲酒喫煙などの生活習慣、身長・体重・BMIなども参考にします
どうやって治すの?
基本は食事療法と運動療法です。三度の食事は規則正しく、腹八分目をめどに、間食せず、夜遅くには食事せず、たくさんの食品を少しずつバランスよく食べることが勧められます。運動は週に3回以上、ウォーキング、ジョギング、プールなどでもよいですが、少し息が上がるような有酸素運動を一回につき少なくとも30分以上継続することが望ましいです。
食事運動療法で改善が十分でなければ内服治療を行います。いろいろな種類の脂質異常症治療薬がありますので、年齢や性別、病態によって治療薬を選択します。
なにに注意したらいいの?
油を多く摂りすぎるとよくないとか、コレステロールを多く含む食品はよくないとかはこの病気にはあまり関係ないことがわかってきました。食べたものの種類よりもやはりどれだけのカロリーを食べたか、消費したかが影響します。常に食事療法運動療法を心がけることが重要です。
その他生活習慣では、喫煙は厳禁です。治療の目的は動脈硬化の抑制ですから、喫煙してしまうと元も子もありません。
当院では・・・
当院では、まず患者さんの生活背景を十分に調査します。規則正しい生活が送れているか、そうでなければその指導を行います。仕事の関係でどうしても不規則な生活を強いられる場合は、その中で可能な指導を行います。また、定期的に採血を行いますが、それは薬の効果が出ているか、副作用がおきていないかの確認のためです。また同時にその他の生活習慣病を併発していないかも確認します。