たばこ肺・慢性閉塞性肺疾患
どんな病気?
タバコや大気汚染など肺に障害を与える物質に対して、異常な炎症反応から、気管、気管支に気流の閉塞を進行性に認める疾患を慢性閉塞性肺疾患と呼びます。その原因としては肺気腫によるものと、慢性気管支炎によるものとに分けられます。略語からCOPDと呼ばれます。また、多くの場合タバコが原因となるためタバコ肺とも呼ばれます。
男性に多い傾向がありますが、これは以前は圧倒的に男性喫煙者が多かったという背景によるもので、近年、喫煙者数に男女差がなくなってきたことを考えると今後女性患者の比率が多くなる傾向が予測されます。
どんな症状がでるの?
もっとも多いのは労作時呼吸困難と言って、坂道や階段で息切れする症状です。その他咳や痰などの呼吸器症状も多く見られます。
症状が進行してくると、安静時にも息苦しさを感じたり、食事をするにも息が上がるため食欲がなくなったり、息切れするため外出がおっくうになり、引きこもりがちになったり抑うつになったりします。
どうやって診断するの?
肺活量をみる呼吸機能検査で診断します。呼吸機能検査はどのくらい吸えるかと、どのくらい吐けるかが指標となりますが、COPDの場合はどのくらい吐けるかで診断します。症状が進行すると強く吐けなくなり、ロウソクの火を吹き消すことができなくなります。
レントゲンやCTなど画像検査も診断にとって重要な要素となります。
その他もちろん喫煙歴のある人はそれが重要な指標になりますし、喫煙歴のない人は大気汚染への曝露歴を参考にします。
どうやって治すの?
喫煙中のひとはなんと言っても禁煙が大前提となります。
薬剤では気管支拡張薬やステロイドを使うことが多いです。慢性気管支炎がある場合には一部の抗菌薬や去痰剤を使用します。
呼吸苦が強くなると酸素吸入を開始します。自宅でも酸素を吸いますので、在宅酸素療法と呼ばれます。
また、呼吸は筋肉で行いますが、外出が減って、歩くことが少なくなると筋肉量も減少し悪循環になります。そういった場合は呼吸リハビリテーションを行い、呼吸に必要な筋肉をつける訓練をします。
その他感染症にかかると悪くなる傾向にあるので、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは積極的に接種を勧めます。
なにに注意したらいいの?
この病気は治る病気ではありません。進行性で元に戻ることはありません。なるべく今の状態を長く持たせることが重要です。
そのために、まずは禁煙、それから筋力が落ちるようであればそのためのリハビリテーション、感染症にかからないためのワクチン接種は非常に重要です。
また急性増悪といって、病態が急激に進行し、悪化することがあります。その際には早期に治療介入が必要となりますので、普段と比べて息苦しさが増した、咳、痰などの呼吸器症状が悪化した、熱が出てきたなどの症状があった場合にはかかりつけ医もしくは呼吸器専門医受診を検討してください。
当院では・・・
当院では禁煙指導ならびに内服、吸入薬の処方が可能です。また胸部レントゲン写真で肺の評価や比較ができます。定期的に受診することにより症状増悪の変化を早くに読み取ることができます。
長年タバコを吸っていて、息切れが気になってきた方は、是非一度ご来院いただき、診察を受けられることをお勧めします。