誤嚥性(ごえんせい)肺炎
どんな病気?
誤嚥によって起きる肺炎ですが、ただ気管に食べ物が入ったから起きるというわけではありませんし、そもそも若い人にはまず起きません。高齢者、寝たきりや脳梗塞などの病気の発症後の人で、嚥下(ものを飲み込む力)機能が低下した人に起きやすいです。口腔内の唾液などが多いですが、絶えず気管から肺へと流れ込むような人が、感染と自然軽快を繰り返しながら発症します。なので原因菌は口腔常在菌であることがほとんどです。また胃酸が逆流する人は胃酸により気道が炎症を起こし、それによりウイルス感染が助長するとも言われています。
どんな症状がでるの?
熱、せき、痰などの一般的な肺炎、気管支炎症状も起きますが、特に高齢者だとそういった気道の症状が目立たないことも多くあります。元気がない、食欲がないといった症状から、話すことがいつもと違う、けいれんなどの意識障害が起きる、失禁や排便トラブルがおきるなど、呼吸と関係ないような症状でも、誤嚥性肺炎発症のサインであることもあります。もちろん、症状が進行すれば熱、せき、痰、呼吸が早くなる、息苦しくなるなどの呼吸器特有の症状も目立ち始めます。
どうやって診断するの?
飲み込む力、嚥下機能の評価は誤嚥性肺炎の診断には必須といわれています。その他にも、採血で炎症反応や血球数、脱水の程度などの項目、胸部レントゲン写真の所見、それから本人の年齢、既往、現在の活動性なども考慮して総合的に診断します。
どうやって治すの?
現在起きている誤嚥性肺炎に対してはほとんどの抗菌薬は効果的ですから、治療自体に困ることはありません。ただ、今の誤嚥性肺炎を治療したとしても、誤嚥は繰り返すわけですから、今後また同じように誤嚥性肺炎は繰り返して起きます。誤嚥を起きないようにする治療が非常に重要です。内服薬で誤嚥を予防したり、誤嚥しないような飲み込みの運動、リハビリなどは非常に効果的です。また食べるご飯にも工夫は必要で、とろみをつけてあげることで誤嚥しにくくなります。
なにに注意したらいいの?
誤嚥させないための努力、食べ物に注意する、食べ方に注意する、食べるときの体勢、姿勢に注意する、などが重要です。また、普段からよく観察し、いつもと違うなという感覚を持つことが大事です。誤嚥性肺炎の患者本人はなかなか病気のことや体調の変化に気づきにくいですので、周囲の人が早期に気づくことが重篤化を予防する手立てとなります。
当院では・・・
診断と治療は難しくありません。しかし予防に関しては小さなクリニックではなかなか難しい面があります。介護保険申請のもと、ケアマネージャーとともに誤嚥予防のための訓練を連携して行っていくことが重要です。